「一目均衡表は日本人が開発したテクニカル指標」ということをご存じでしょうか。
ペンネーム一目山人が7年の月日をかけて2,000人のスタッフとともに生み出した指標なんです。
一目均衡表の由来は「相場は買い方と売り方の均衡が崩れた時に大きく動く、どちらが優勢か分かればよい。それを一目で知ることができる」ことから名付けられたそうです。
現在ではその有用さが評価され、海外投資家にも「Ichimoku」として、人気の指標なんだとか。
海外の投資家からも”一目”を浴びるようにたくさんの魅力があります。
一目均衡表は、多くの要素(時間・波動・値幅)を取り入れているため、情報量が多いという特徴があります。
そのため、初心者には少し取っつきにくい印象があるかもしれません。
しかし、基本を押さえて使いこなせるようになれば頼りになる存在です。
しっかりこの記事で勉強していきましょう。
一目均衡表の基本的な使い方とは?
一目均衡表とは?意味がない?
一目均衡表は意味がないのか、私の答えとしては「意味がある」になります。
一目均衡表からはたくさんの情報を得ることができます。
大きくは以下の二つがあります。
- 転換線/基準線/先行スパン1/先行スパン2/遅行スパンの5本で構成されている
- 時間/波動/値幅の3要素を用いて多くの情報を得ることが可能
一目均衡表の最強設定(オススメ設定)
一目均衡表は過去のチャート情報を元に考え込まれた指標です。
それぞれの構成要素は初期値を設定して使ってください。
初期値を使うことで、他の投資家が見てる視点を意識することができます。
多くの投資家が注目する視点こそ、イベント(反転や加速)が起こりやすいです。
一目均衡表の構成要素(転換線/基準線/先行スパン/雲/遅行スパン)とは?
一目均衡表の構成要素(転換線/基準線/先行スパン/雲/遅行スパン)の見方、使い方を見ていきます。
一目均衡表の構成要素①『基準線』の使い方
一目均衡表の「基準線」とは、26日間の最高値と最安値の平均を結んだ線になります。
基準線=(過去26日間の最高値+最低値)÷2
一目均衡表の構成要素②『転換線』の使い方
一目均衡表の「基準線」とは、9日間の最高値と最安値の平均を結んだ線になります。
転換線=(過去9日間の最高値+最低値)÷2
上述の通り、転換線と基準線の交差方向でゴールデンクロスやデッドクロスを判断できます。
転換線は短期移動平均線、基準線は中期移動平均線に置き換えると理解しやすいと思います。
移動平均線を使ったゴールデンクロスは必ず押さえておきたい指標の一つです。
合わせて以下の記事も確認しておくと良いでしょう。
一目均衡表の構成要素③『先行スパン』の使い方
一目均衡表の先行スパンは「先行スパン1」と「先行スパン2」の2種類があります。
先行スパン1
基準線と転換線の平均値を26日後に表示する。
先行スパン1={(転換線+基準線)÷2} ※26日先に表示
先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値を26日先に表示する。
先行スパン2={(52日間の最高値+最低値)÷2} ※26日先に表示
一目均衡表の構成要素④『雲』の使い方
2種の「先行スパン」で囲われた領域を「雲」と呼び、一目均衡表で最も意識される重要な指標です。
雲が理解できれば、一目均衡表で大事な「時間」や「値幅」が見える事でしょう。
つまり、雲を上抜けた場合は上昇圧力が強く、上昇トレンドを形成しやすい。
逆に、下抜けた場合は下降圧力が強く下落トレンドを形成しやすい。
上記性質を利用して、雲を抜けた方向に順張りする手法が定石となります。
一目均衡表の構成要素⑤『遅行スパン』の使い方
一目均衡表の「遅行スパン」とは当日の終値を26日前に表示したものになります。
一目均衡表の大事な概念「時間」に触れることができます。
画像の通り、26日前に表示した遅行スパンと26日前のローソク足の位置を比較することが大事です。
一目均衡表『三役好転』の使い方とは?
最強の『三役好転』を見ていきましょう。
一目均衡表と言えば、最強の『三役好転』をわかりやすく解説
三役好転は以下の三つを順番に達成すること。「順番に」がポイントです。
逆の形を『三役逆転』といいます。
これは達成したくないシグナルになりますね。
三役好転はなかなかお目にかかれないシグナルです。
ですが、それゆえに発現した場合はみんなが意識するポイントにもなります。
みんなが意識するポイントは株価が動きやすいので注目することが大事です。
一目均衡表をシステムトレードで検証(検証結果)
一目均衡表の検証について
ここからは一目均衡表をシステムトレードツール『イザナミ』を使って分析していきます。
イザナミは無料で無期限に利用できるツールなので、是非いろいろな人に使って見て欲しいです。
検証条件や検証過程も大事な要素なので余裕があれば確認して欲しいです。文末の検証条件に遷移
ですが、まずは結果から紹介していきます。
一目均衡表と言えば「三役好転」と「雲」。
以下のパターンを検証します。
- 一目均衡表の三役好転
- 一目均衡表の雲の上抜け(雲の厚みによる傾向確認)
- 一目均衡表の雲の支持線(雲の厚みによる傾向確認)
検証結果を理解するには用語の意味も押さえておく必要がありますので参考にしてください。
一目均衡表『三役好転』の検証
一目均衡表の三役好転の検証結果
一目均衡表で最強との呼び名が高い三役好転が本当に最強かを検証します。
今回の検証条件ではという前置きは必要ですが、「まずまずの成績」となりました。
正直、この結果は最強とは程遠い結果となりました。
拍子抜けですね。。。
しかし、勝率も50%を超え、平均利益>平均損失という結果は微勝ちの積み重ねが可能とも言えます。
取引回数 | 保有日数 | 勝率 | 平均利益 | 平均損失 | ペイオフ レシオ |
---|---|---|---|---|---|
30,186回 | 6.22日 | 52.02% | 3.88% | 3.82% | 1.02倍 |
一目均衡表『雲の上抜け』の検証
一目均衡表の雲の上抜けの検証結果
一目均衡表の雲を抜けると(ブレイクすると)、その方向にトレンドが継続すると言われています。
そのため、雲を上抜けたタイミングでエントリーするのが定石となります。
検証した結果は、期待に反して勝てない成績となりました。
勝率50%程度、平均利益<平均損失となり、やればやるほど資産が減る結果になりました。
つまり、雲を上抜けたからと言って、安易にエントリーしてはいけないということです。
取引回数 | 保有日数 | 勝率 | 平均利益 | 平均損失 | ペイオフ レシオ |
---|---|---|---|---|---|
15,338回 | 6.17日 | 50.03% | 3.87% | 4.02% | 0.96倍 |
勝率50%程度、平均利益<平均損失となり、やればやるほど資産が減る結果になりました。
一目均衡表の雲の上抜けと雲の厚みの関係性を確認
先の検証では、雲の厚さを考慮していませんでした。
そのため、雲の上抜けと雲の厚さの関連性を見ていきます。
一般的には分厚い雲ほど、上抜けにはエネルギー(出来高)が必要と言われています。
分厚い雲ほど、トレンド継続しやすいと考えました。
調査結果からは、残念ながら「薄い雲の場合が有利」であることが分かりました。
検証結果からは雲の厚さとの因果関係を確認することはできましたが、一般的な解釈とは異なるので注意が必要です。
薄い雲のほうが期待値が高く、一般的な解釈とは逆の動きとなりました。
※一目均衡表(くもの幅)(率)が大きいほど雲が厚いことを表す。
※期待値が高いほど、利益となりやすい。
一目均衡表『雲が支持線として機能するか』を検証
一目均衡表の雲が支持線として機能するかの検証結果
この検証は雲の上を推移している株価が、雲の上限に触れた際に反転上昇するかを検証した結果になります。
検証した結果は、ぱっとしない結果となりました。
勝率が50.40%で、平均利益≒平均損失でほとんど無益な結果となりました。
つまり、雲の上限を反発期待として、安易にエントリーしてはいけないということです。
取引回数 | 保有日数 | 勝率 | 平均利益 | 平均損失 | ペイオフ レシオ |
---|---|---|---|---|---|
26,375回 | 5.95日 | 50.40% | 4.24% | 4.23% | 1.00倍 |
勝率が50.40%で、平均利益≒平均損失でほとんど無益な結果
一目均衡表の雲の支持線と雲の厚みの関係性を確認
雲の厚みが反発のしやすさに繋がるかを検証しました。
検証した結果、雲が厚いほど期待値が高いことから支持線として機能する事がわかりました。
雲が厚い場合に逆張り戦略として組み込んでみると使える戦略になりそうです。
※一目均衡表(雲の幅)(率)が高い=雲が厚い
一目均衡表は意味ない?雲の使い方や設定をシステムトレードの検証結果から解説 まとめ
今回は一目均衡表について、基本的な考え方、具体的な戦略、戦略結果についてご紹介しました。
それではおさらいしていきましょう。
一目均衡表との組み合わせで使うテクニカル指標を解説
移動平均線は外せない。一目均衡表と一緒に使うべき指標
一目均衡表は移動平均線と似た性質を持つ部分もありますが、違う性質となる部分が多いです。
例えば、一目均衡表は上記で解説している通り、高値と安値の中央値を使って考察することができます。
かたや、移動平均線はローソク足の平均値を使って考察することになります。
似ているようで異なるこの違いにより、多面的に分析することができ、情報の確度を高めることが可能です。
システムトレードでゴールデンクロスを検証。勝率とは?
一目均衡表にもゴールデンクロスは存在します。
それは、基準線と転換線の交わる部分です。
それとは異なり、こちらは一番有名な移動平均線を使った場合のゴールデンクロスをシステムトレードで検証しています。
もっとも有名なゴールデンクロスは本当に機能するのか、気になりませんか?
一目均衡表と同じく有名なボリンジャーバンドとは?戦略や勝率を紹介
一目均衡表と同じくらい有名でよく使われているボリンジャーバンドをシステムトレードを使って検証しています。
ボリンジャーバンドも一目均衡表と同じくらい押さえておくべき指標ですので、参考にしてみてください。
一目均衡表と相性のよいRSIを紹介。売られ過ぎとは?
一目均衡表と相性の良い、RSIも押さえておくと良いです。
一目均衡表でも強気や弱気を推し量ることが可能です。
RSIを併用することで、その情報確度は精度を増すでしょう。
システムトレードでRSIを検証した結果を公開しています。
参考)一目均衡表をシステムトレードで検証(条件設定)
検証結果はその条件を理解してこそ、理解が深まります。
以下の検証条件も非常に重要なものと思いますので合わせて紹介します。
以下のリンクからそれぞれの文章に戻ることができます。
一目均衡表 三役好転と雲の検証条件(共通設定)
検証ルールは2010年1月~2022年12月の期間において、全個別銘柄としています。
検証期間:2010年1月~2022年12月
全銘柄
一目均衡表『三役好転』を検証する
一目均衡表の三役好転の設定条件
前提条件:期間が2010年1月~2022年12月で、全個別銘柄を対象
以下の三つが揃ったら買い
①均衡表の好転(前日までに)
②遅行スパンの好転(前日までに)
③三役好転
建値から利益率±5%で翌日成行手仕舞い
一目均衡表『雲の上抜け』を検証する
雲が上抜けた場合にそのまま上昇を続けるか、雲の厚さは関係があるかを検証します。
一目均衡表の雲の上抜けの設定条件
買い条件:3連続雲の中を推移した後に終値が雲を上抜けた翌日に成行買い
手仕舞い条件:建値±5%または保有日数が5日以上で翌日成行手仕舞い
一目均衡表『雲が支持線として機能するか』を検証する
次は雲で株価が反発するか、雲の厚さは関係があるかを検証します。
一目均衡表の雲の支持線の設定条件
買い条件:5日連続雲の上限より終値が高く、雲の上限を割り込んだら翌日に成行買い
手仕舞い条件:建値±5%または保有日数が5日以上で翌日成行手仕舞い
コメント