MACDは視覚的にも分かりやすく、移動平均線よりもシグナルが早めに出る特性から多くのトレーダーに愛されている指標です。
私自身もよく使うシグナルです。
しかし、間違ったMACDの使い方をしている場合をよく見かけます。
MACDは株式投資初心者に対しても扱いやすいテクニカル指標と言われています。
その理由はMACDだけで勝てる指標だからでしょうか?
そこで今回は「MACDとは?をテーマに、MACDの基本的な使い方や手法、システムトレードでMACDだけで勝てるのか、客観的に分析した結果」をわかりやすくご紹介します。
結論!MACDだけで勝てる?システムトレード検証した結果を公開
システムトレードを用いて検証した結果は以下の通りとなりました。
日本株の過去データを検証した結果、MACDだけでも勝てるという結果になりました。
設定条件や詳しい分析結果は順を追って解説していますので最後まで読んでいただけますと幸いです。
プラスアルファの条件を加えてさらに使える条件に昇華させて自分の投資戦略にしていただければと思います。
分析結果の詳細を確認したい場合は、検証結果を確認してください。
MACDの基本から順に理解したい人はこのまま読み進めてください。
MACDとは?分かりやすく解説
MACDの基本と特徴とは?
MACDの基本とは?
MACDとは、移動平均線を応用したオシレーター系の指標です。
2本の移動平均線(MACD線とシグナル線)と1つのヒストグラムの全3種から構成されています。
「移動平均収束拡散」や「移動平均収束乖離」などと呼ばれることもあります。
MACDの特徴とは?
MACDの2本の移動平均線は指数平滑移動平均線(EMA)が用いられています。
基本移動平均線(SMA)ではないことに注目してください。
そのため、MACDは指数平滑移動平均線(EMA)の特徴を有しています。
つまり、MACDは基本移動平均線(SMA)よりも早期にシグナルが発生する特徴を持ちます。
その一方、だましも多くなる点には意識が必要です。
レンジ相場では、敏感に反応してしまうがゆえに、だましが多く発生する傾向にあります。
MACDを使うときはしっかりとトレンドが発生している状況で使うと良いでしょう。
MACDの構成要素とは?設定方法や計算式について解説
MACDの基本とは?3つの構成要素を確認しておこう。
MACDとは2本の移動平均線(MACD線とシグナル)と1つのヒストグラムの3種から構成した指標です。
※ツールによってはヒストグラムが表示されないものもあります。
MACDの3つの構成要素とは?
※MACD線はEMA(指数平滑移動平均線)、シグナル線はMACD線をさらにSMA(単純移動平均線)で慣らした指標である点に注意してください。
SBI証券、楽天証券、トレーディングビューに対するMACDの設定方法とは?
ツールによって初期値が違うことがありますので、注意してください。
今回の場合、楽天証券が唯一ズレていて注意が必要です。
初期値というのは、皆が使う指標、皆が意識する指標です。
初期値を設定方法とする、で問題ないと考えます。※楽天証券は注意
そのうえで、先回りして考える意識をもって使うことが大事だと思います。
例えば、明日はMACDのゴールデンクロスが発生するからと、予想して買いで打診買いするなど。
SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | トレーディングビュー | |
---|---|---|---|---|
短期EMA | 12 | 5 | 12 | 12 |
長期EMA | 26 | 20 | 26 | 26 |
シグナル線 | 9 | 9 | 9 | 9 |
※EMA=指数平滑移動平均線
MACDの3つの構成要素の敏感さ(売買タイミングの発生順序)とは?
計算式の特徴から構成要素の敏感さと発生順序を意識しておくと良いでしょう。
ヒストグラム>MACD線>シグナル線の順に敏感に反応します。
それを元に考えると売買のタイミングは以下のように考えられます。
MACDの3つの構成要素の計算式と特徴とは?
MACD線の計算式と特徴
MACD線 = 短期移動平均線(EMA) ー 長期移動平均線(EMA)
短期移動平均線と長期移動平均線の差をプロットしたものになります。
MACD線は計算式からも分かる通り、以下の二つの特徴を備えています。
MACD線が0以上の場合は短期的に株価が勢い良く上昇していることを表しています。
これは、短期移動平均線が長期移動平均線より上に位置しているためです。
逆にMACD線が0を下回る場合は、下落トレンドと判断できます。
また、移動平均線はEMA(指数平滑移動平均線)を使っています。
指数平滑移動平均線(EMA)は単純移動平均線(SMA)より敏感に反応するため、だましが多いが早くトレンド変化を察知できます。
シグナル線の計算式と特徴
シグナル線 = MACD線の移動平均線(SMA)
シグナル線はMACD線をさらに基本移動平均線で慣らしたものになります。
シグナル線が上昇している場合は、上昇トレンドが継続していると判断できます。
ヒストグラムの計算式と特徴
ヒストグラム = MACD線 ー シグナル線
ヒストグラムはMACD線とシグナル線の差を棒グラフで表したものになります。
ボトムアウト(下げ止まり)やピークアウト(上げ止まり)を視覚的に判断するのに役立ちます。
ヒストグラムではこのボトムアウトやピークアウトに注目すると良いと思います。
ヒストグラムが0の場合は、MACD線=シグナル線を表します。
つまり、MACDのゴールデンクロスまたはデッドクロスが発生している状態と言えます。
MACDの基本手法とは?
今回はMACDだけで勝てるのか、基本手法として以下の4点を考えます。
- MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法
- MACDの0ラインブレイクアウト手法(MACD線)
- MACDの0ラインブレイクアウト手法(シグナル線)
- MACDのダイバージェンス手法
MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法
MACD『ゴールデンクロス/デッドクロス手法』を考えます。
売買ポイントが明確で、初心者にも愛されやすい手法で皆が意識するポイントでもあります。
この手法では、MACD線とシグナル線を用いて、この二つのシグナルがクロスするタイミングで売買を行います。
MACD線がシグナル線を上抜けることをゴールデンクロスといい、株価が下落から上昇に転換する買いタイミングとなります。
またMACD線がシグナル線を下抜けることをデットクロスといい、株価が上昇から下降に転換する売りタイミングとなり、利益確定のポイントとなります。
MACDの0ラインブレイクアウト手法
0ラインブレイクアウトとはMACD線もしくはシグナル線が0ラインをブレイクしたタイミング(黄緑の〇のポイント)でエントリーする手法になります。
一般的にはMACD線(青色)が先に0ラインをブレイクし、次にシグナル線(オレンジ色)が0ラインをブレイクします。
MACD線を使う場合では買いタイミングが早く訪れるため早期の上昇トレンドに乗りやすいものの、騙しも多くなります。
どちらを利用するかを判断する一つの材料としては、その銘柄の過去のチャートの動きを分析しておくと良いでしょう。
銘柄によっても0ラインブレイクにMACD線/シグナル線のどちらが過去のチャートでうまく機能しているか判断できると思います。
0ラインブレイクアウト手法(MACD線が0を超えた場合にエントリー)
MACD線が0ラインをブレイクしている場合は短期移動平均線(EMA)から長期移動平均線(EMA)を下から上に突き抜けている状態を表します。
また、MACDそのものが単純移動平均線に比べて早期に売買タイミングが発現するため、利益を大きく伸ばしたい場合のタイミングと言えます。
しかし、その分、だましも多くなるため注意が必要です。
0ラインブレイクアウト手法(シグナル線が0を超える場合にエントリー)
MACD線を用いる手法に比べて売買タイミングは遅れるが、だましもその分減る手法になります。
シグナル線はMACD線の移動平均線(SMA)を表していますので、MACD線に比べて穏やかに反応する特徴を有しています。
MACDの基本はMACD線がまず0ラインを超え、そのあとにシグナル線が0ラインを超えます。
両シグナルが上昇期待を示すことでだましを押さえる効果も期待できます。
MACDのダイバージェンス手法
ダイバージェンスとは、株価と指標が逆行する現象を指します。
株価が上昇トレンドを形成しているのに、MACDは下落している場合やその逆の場合になります。
このダイバージェンスが発生すると、トレンド転換が近いといわれています。
しかし、必ず起こるわけではなく、転換するタイミングもはっきりとはしないことが多いです。
ダイバージェンスが発生すると、トレンド転換となる可能性が若干上がる程度に理解すると良いかもしれません。
不確実性が高い言葉となりますが、注意喚起のひとつとして意識しておくことは大事です。
MACDの基本手法をシステムトレードで検証(検証結果)
ここからは基本手法について、システムトレードを用いて検証していきます。
検証条件や検証過程も大事な要素なので興味があれば確認して欲しいです。文末の検証条件に遷移
検証には、システムトレードツール『イザナミ』を使います。
仕掛け条件も手仕舞い条件も成績もすべて公開していますので、興味ある方はこの手法を使って自分のオリジナル手法に昇華して使ってもらえると幸いです。
イザナミは無料で無期限に利用できるツールなので、是非いろいろな人に使って見て欲しいツールです。
MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法の検証結果
MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法の検証結果になります。
勝率:38.57% 平均利益>平均損失 平均保有日数:13.94日という結果になりました。
平均利益率が高いので他のインジケーターと組み合わせて勝率をもう少し上げれると良いと思います。
勝率:38.57% 平均利益>平均損失 平均保有日数:13.94日
0ラインブレイクアウト手法(MACD線が0を超えた場合にエントリー)
MACDの0ラインブレイクアウト手法(MACD線)の検証結果となります。
勝率:52.26% 平均利益率<平均損失率 平均保有日数:4.76日という結果になりました。
勝率は50%を超えているものの、平均損失率のほうが高い手法で、このままやっても資金が減る結果となりました。
やはり、だましが多い結果ということが言えそうです。
勝率:52.26% 平均利益率<平均損失率 平均保有日数:4.76日
0ラインブレイクアウト手法(シグナル線が0を超えた場合にエントリー)
MACDの0ラインブレイクアウト手法(シグナル線)の検証結果となります。
勝率:51.50% 平均利益率>平均損失率 平均保有日数:4.81日という結果になりました。
勝率は50%を超えており、平均損益率のほうが高い手法です。
プラスアルファの工夫が欲しいところではありますが、若干の利益増加が望めそうな手法です。
勝率:51.50% 平均利益率>平均損失率 平均保有日数:4.81日
MACDの他のテクニカル指標との組み合わせ
MACDの組み合わせでまず考えるべきは、トレンドを推し量れる指標を組み合わせること。
MACDはトレンド発生時に最大の効果を発揮すると覚えておいてください。
移動平均線×MACD
まずは基本的な組み合わせを理解しましょう。
移動平均線とMACDの組み合わせは良く見る組み合わせだと思います。
しかしちゃんと理解して使ってる人は少ないかもしれません。
それぞれで考えるのではなく組み合わせて考えてください。
移動平均線でトレンドが発生しているかを確認し、トレンドが発生している時にMACDでトレンドの強さを推し量りましょう。
以下の記事では移動平均線の基本を紹介しています。
TradingViewを無料で使ってる人も必見です。
MACD×ボリンジャーバンド
前述した通り、MACDはトレンドが発生していないレンジ相場で使用すると「だまし」に巻き込まれて負ける場面が増えるでしょう。
MACDは繰り返しますが、敏感に反応する特性を持っているのでレンジ相場ではシグナル連発で、機能しない場面が増えるからです。
MACDは一般的にトレンドの初動を分析するテクニカル指標です。
相場の強弱を分析する「ボリンジャーバンド」を組み合わせることで、トレンド相場なのかレンジ相場なのかを判断します。
バンドウォークしている状況はまさにトレンドが発生している状況と言えますよね。
ボリンジャーバンドについて詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
【株】MACDだけで勝てる?設定方法や計算式を基本から分かりやすく解説 まとめ
今回はMACDの基本的な構成要素と手法を紹介しました。
ヒストグラム>MACD線>シグナル線の順に敏感に反応することを覚えておこう。
値の設定方法は、皆が良く利用している期間を利用することが大切です。
日本株においてMACDだけで勝てるか、分析結果は以下の通りです。
参考)MACDの基本手法をシステムトレードで分析(条件設定)
検証結果に合わせて条件設定も大事にして欲しいので合わせて紹介します。
以下のリンクから検証結果に戻ることができます。
MACD基本手法の基本設定(共通)
今回の手法は、全て以下の期間と銘柄を対象に検証しています。
検証ルールは2010年1月~2022年12月の期間において、全個別銘柄としています。
検証ルールは2010年1月~2022年12月の期間において、全個別銘柄としています。
MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法
MACDのゴールデンクロス/デッドクロス手法の検証条件になります。
仕掛け条件
当日終値がゴールデンクロスを達成した場合に、翌日寄付きに成行で買いを行う。
ゴールデンクロス達成に、MACDヒストグラムが0より小さい状態から0以上になった場合としました。
仕掛け条件
※ゴールデンクロス:MACDヒストグラムが0を超えるとして設定。
※デッドクロス:MACDヒストグラムが0を下回るとして設定。
手仕舞い条件
当日終値がデッドクロスを達成した場合に、翌日寄付きに成行で手仕舞いを行う。
手仕舞い条件
※ゴールデンクロス:MACDヒストグラムが0を超えるとして設定。
※デッドクロス:MACDヒストグラムが0を下回るとして設定。
MACDの0ラインブレイクアウト手法(MACD線)
MACDの0ラインブレイクアウト(MACD線)手法の検証条件になります。
仕掛け条件
MACD線が3連続0より小さい日が続いた後、0をブレイクアウトしたタイミングとしています。
また、MACDはトレンドが発生した場合に有効と思われるため、25日移動平均線(SMA)と200日移動平均線(SMA)が上向きの場合としています。
これらの条件が満たされた場合の翌日寄付きで成行買いでエントリーします。
仕掛け条件
手仕舞い条件
損益率が3%上振れ、または下振れした場合の翌日寄付きに成行で手仕舞いを行います。
5日以内に±3%の推移が無ければ、同じく翌日寄付きに成行で手仕舞いを行います。
手仕舞い条件
MACDの0ラインブレイク手法(シグナル線)
MACDの0ラインブレイク(シグナル線)手法の検証条件になります。
仕掛け条件
MACD線が0以上になっている状態でかつ、シグナル線が3連続0より小さい日が続いた後、0をブレイクアウトしたタイミングとしています。
また、MACDはトレンドが発生した場合に有効と思われるため、25日移動平均線(SMA)と200日移動平均線(SMA)が上向きの場合としています。
これらの条件が満たされた場合の翌日寄付きで成行買いでエントリーします。
仕掛け条件
手仕舞い条件
損益率が3%上振れ、または下振れした場合の翌日寄付きに成行で手仕舞いを行います。
5日以内に±3%の推移が無ければ、同じく翌日寄付きに成行で手仕舞いを行います。
手仕舞い条件
テクニカル指標もシステムトレードで検証!分析結果も公開中
いくつか、おすすめの記事を紹介します。
基本的な部分になるので、是非参考にしてもらえると幸いです。
システムトレードでゴールデンクロスを検証。勝率とは?
システムトレードでゴールデンクロスを検証しています。
もっとも有名なゴールデンクロスは本当に機能するのか、気になりませんか?
MACDでもゴールデンクロス/デッドクロス手法があります。
しかし、一般的にゴールデンクロス/デッドクロスと言えば移動平均線を指すことが多いです。
もっとも基本的な移動平均線を用いたゴールデンクロス/デッドクロス手法も類似点は多いです。
MACDのゴールデンクロス/デッドクロスとの違いを理解できていなければ一度読んでみると良いかと思います。
ボリンジャーバンドと相性のよいRSIを紹介。売られ過ぎとは?
ボリンジャーバンドと相性の良い、RSIも押さえておくと良いです。
システムトレードでRSIを検証した結果を公開しています。
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