今回は少しマニアックなテクニカル指標『パラボリックSAR』を紹介します。
パラボリックSARは見た目にインパクトのある指標です。
視覚的に分かりやすく初心者が扱うにはちょうど良い指標かもしれません。
視覚的にわかりやすい指標であるからこそ、間違った使い方をしてしまうこともあります。
正しく理解して、使うべき場所を選んで利用しましょう。
結論!パラボリック(SAR)とは?を解決
押さえるべきポイントを一言で解説します。
詳しく知りたい人は、以降の章を確認いただけると理解できるかと思います。
パラボリック(SAR)とは?
パラボリックとは売買転換点を示すトレンドフォロー型の指標です。
パラボリック(SAR)のメリット/デメリットとは?
パラボリック(SAR)のメリット
- トレンド、売買のタイミングが一目でわかる。
- ドテン戦略が成功しやすい。
- 他の指標と組み合わせやすい。
パラボリック(SAR)のデメリット
- シグナル点灯が遅い。
- トレンドがしっかり出てるような相場で使わないとだましが多くなる
パラボリック(SAR)の使い方や戦略とは?
パラボリック(SAR)の基本的な使い方
- しっかりトレンドが出ている相場で使用する。
- 他の指標と組み合わせて使用する。
- 最強設定は、デフォルト値でOK!
パラボリック(SAR)の戦略
- 基本戦略:「陽転」が発生したタイミングで買い、「陰転」が発生したタイミングで手仕舞い。
- ドテン戦略:手仕舞いと同時に反対売買を行う。
パラボリック(SAR)とは?基本と特徴を解説
ここからは、パラボリッSARRを順番に見ていきます。
パラボリック(SAR)の基本と特徴
パラボリックとは売買転換点を示すトレンドフォロー型の指標です。
視覚的にトレンドや転換点の判断が容易であるため、一部のトレーダーには人気の指標になります。
パラボリック(SAR)の基本
パラボリックは明確なトレンドが発生している場合に特に有効とされています。
逆にトレンドが発生していない相場では、優位性は下がりますので注意しましょう。
パラボリック(SAR)と実際の価格の交差するポイントが売買転換点になります。
売買転換点が発生したことを「陰転」または「陽転」と言います。
パラボリックがローソク足の下から上に表示位置が変わることを「陰転」といいます。
逆にパラボリックがローソク足の上から下に表示位置が変わることを「陽転」と言います。
売買転換点はその名の通り、トレンドの転換点を示します。
ただし、少し遅めにシグナルが点灯すると覚えておきましょう。
- 「陰転」が発生⇒トレンドが下向きに変化⇒売りサイン
- 「陽転」が発生⇒トレンドが上向きに変化⇒買いサイン
パラボリック(SAR)の基本戦略とドテン戦略
パラボリック(SAR)の基本戦略
パラボリック(SAR)の基本戦略はパラボリック(SAR)とローソク足の位置でトレンドを判断します。
「陰転」してSARがローソク足の上にある場合は下落トレンドを示します。
逆に「陽転」してSARがローソク足の下にある場合は上昇トレンドと判断できます。
この性質を利用した順張り戦略が一般的な戦略になります。
- 「陽転」を条件に買いでエントリーする。
- 「陰転」を条件に手仕舞う。
パラボリック(SAR)のドテン戦略
パラボリックの売買転換点で反対売買を行う「ドテン取引」も有効な考え方になります。
うまく波に乗れれば、上昇トレンドでも下落トレンドでも利益を出すことができる欲張り戦略です。
※ドテン取引とは買いポジションを手仕舞うと同時に売りポジションを作る。
または、売りポジションを手仕舞うと同時に買いポジションを作るように、反対売買を同時に行う手法です。
- 「陽転」を条件に「買い」でインする。同時に「売り」でインしていた銘柄を手仕舞う。
- 「陰転」を条件に「売り」でインする。同時に「買い」でインした銘柄を手仕舞う。
パラボリック(SAR)の計算式
パラボリック(SAR)の計算式
パラボリック(SAR)は、以下の計算式で算出されています。
パラボリック(SAR)=(EP−前日のSAR)× AF + 前日のSAR
EP(極大値):前日までの最高値または最低値※1を表します。
※1 陽転の場合はその期間のSARの最高値、陰転の場合は最安値
AF(加速因子):0.02≦AF≦0.20の間で通常設定されます。
パラボリックSARの初期設定
一般的には、AF(加速因子)を構成する以下の3要素を設定変更によって微調整することが可能です。
※ツールによっては初期値が設定できないものもあります。
- 初期値:0.02 ※陰転、陽転したときの値
- 増加量:0.02 ※ローソク足が1本進むごとに加算する値
- 最大値:0.2 ※どこまで加算するか
パラボリックSARの設定変更による影響(最強設定とは?)
パラボリックSARにおける最強設定は、初期値のままが一番良いと思います。
多くの投資家が注目するポイントでは、トレンドが加速したり反転したりします。
ですが、パラボリックSARは移動平均線やMACDなどのテクニカル指標に比べると、使うユーザは少ないです。
使う投資家が多くはない指標では、下手に設定を弄らないほうが良いでしょう。
そのため、基本的には初期値=最強設定と思ってよいですが、カスタマイズするならば、増加量を調整してみましょう。
加速因数は、大きくするとダマシが多くなり、小さくしすぎるとタイミングが遅れると覚えておいてください。
パラボリック(SAR)と他の指標との組み合わせ
パラボリックは、トレンドが発生している場合に特に有効と言われています。
レンジ相場になって短期間に価格が上下する状態になると、だましが多くなると言われます。
つまり、トレンドを推し量れる指標と相性が良いと言えます。
パラボリック+移動平均線
パラボリックはトレンドが明確である必要があります。
最もトレンドを推し量りやすいのは移動平均線でしょう。
多くの投資家もパラボリックと移動平均線を組み合わせ利用しています。
パラボリックが効きやすい条件は、移動平均線の傾きが大きい場合(明確なトレンドが出ている場合)と覚えておいてください。
移動平均線については以下の記事で解説しています。
パラボリックのインジケーターを無料版のトレーディングビュー(TradingView)で使えるインジケーターも紹介していますので参考にしてみてください。
パラボリック+DMI(ADX)
DMIは、価格の変動幅からトレンドの有無や強弱を読み取る指標です。
トレンドの強さをDMIのADXで推し量ることができるので相性が良いのです。
つまり、『ADXが上昇していてトレンドが発生しているときにパラボリックの売買サインを活用する』が有効です。
ADXが上昇している場合はトレンドが強く、逆にADXが下降している場合はトレンドが弱いことを示します。
具体的には、ADXが25(場合によっては30)以上にパラボリックの売買サインと合わせます。
逆にADXが25未満のときはシグナルの根拠が薄くなってしまうため、トレードは控えましょう。
休むも相場ですね。
パラボリック+MACD
MACDは2本の線(MACDとシグナル)とヒストグラムの3種で構成されています。
どちらの指標からもトレンドの向きと強さを推し量ることが可能です。
- MACDやシグナルの向き⇒トレンド方向が分かる(右肩上がり⇒上昇トレンド)
- MACDやシグナルの傾き⇒トレンドの強さが分かる(角度がある⇒強いトレンド)
- ヒストグラムの向き⇒トレンド方向が分かる(上向き⇒上昇トレンド)
- ヒストグラムの長さ⇒トレンドの強さが分かる(長い⇒強いトレンド)
つまり、MACDやシグナルの傾き角度がある、またはヒストグラムが長い場合に強いトレンドが発生しているので、その時に限ってパラボリックの売買サインを活用すると良いです。
また、MACDではEMA(指数平滑移動平均)を使って算出しているため、トレンド転換を早めに知ることができます。
パラボリックは少し遅めに反応するため、MACDと組み合わせて転換を事前に察知して、先回りすることも有効な戦略と考えられます。
MACDについては以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
【株】パラボリック(SAR)とは?基本戦略や最強設定を紹介 まとめ
最後にまとめになります。
パラボリックとは大きなトレンドの波を利用して、ドテン戦略も使いやすいシグナルです。
逆に言えば、トレンドが弱い状況では別の指標を使うことも検討したほうが良いとも言えます。
一般的な使い方としては、
- 「陽転」を条件に買いでエントリーする。
- 「陰転」を条件に手仕舞う。
※ドテンを狙う場合は買いのエントリー時に売りを手仕舞い、買いの手仕舞いの時に売りを仕掛けます。
また、強いトレンド時に特に効果を発揮する指標なので、「DMIのADX」や「MACD」と組み合わせてトレンドの強弱を推しはかるのも有効です。
以下で紹介する各テクニカル指標についてもトレンドの強弱を推し量れるものもありますのでチェックしておいてくださいね。
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