株式投資において、移動平均線は重要な指標の一つであり、多くの投資家が利用しています。
しかしながら、移動平均線には高値や安値が一定範囲内で推移するレンジ相場や、ボラティリティが高い相場において使いにくい場合があります。
具体的な実例を交えて、投資家が移動平均線を使いこなすためのポイントをお伝えします。
また、無料版TradingViewで使えるインジケーターも本記事でも紹介しているので楽しみにしてくださいね。
一つのインジケーターで同時に移動平均線を最大7本同時に表示、その他複数のテクニカル指標を同時表示できるため、トレーディングビューの無料版を使っていきたい人は是非見て欲しい。
本記事では、「移動平均線の基本~最強設定、効果的に使える相場の特徴や注意点」と「無料版TradingView(トレーディングビュー)で使える自作インジケーター」を紹介します。
こんにちは。株トレ@兼業(@kabutore0721)です。
移動平均線とは?基礎知識を解説
移動平均線とは何か?
移動平均線とは、株価データ一定期間の平均値をグラフ化したものです。
移動平均線は、株価のトレンドを確認するのに有効です。
移動平均線は、一般的に5日、25日、75日、200日間の期間を用いて計算されます。
移動平均線とは?特徴を解説
移動平均線は、株価のトレンドを確認するために使われます。
移動平均線が右上に伸びている場合には上昇トレンドを表し、株価は上昇しやすい場面とみることができます。
逆に右下に伸びている場合は下落トレンドを表し、株価が下落しやすい場面とみることができます。
他の指標や時間軸を組み合わせて判断することで、より正確なトレンド分析が可能になります。
そのため、複数の移動平均線や様々な指標を一つの画面で見ることができるTradingView(トレーディングビュー)を使うのがオススメです。
移動平均線の種類とは?
移動平均線は「単純移動平均線(SMA)」「指数平滑移動平均線(EMA)」「加重移動平均線(WMA)」の3種類が有名です。
3種は計算方法の違いから、反応が遅くだましが少ないもの、反応が早くだましが多いものと、特徴を理解して使うのが良いでしょう。
下図のように、単純移動平均線は反応が遅いがだましが少ない、指数平滑移動平均線は反応が早いがだましが多いと覚えましょう。
単純移動平均線 (SMA)とは?
単純移動平均線(SMA)とは、過去の一定期間の株価の平均値を線で表したものです。
単純移動平均線は、過去の値を均等に重視するため、急激な値動きに遅れて反応する傾向があります。
一般的に移動平均線と言われるものは、「単純移動平均線」を表すことが多いです。
指数平滑移動平均線 (EMA)とは?
指数平滑移動平均線(EMA)とは、単純移動平均線とは異なり、過去の値を指数関数的に加重平均する方法で計算されます。
指数平滑移動平均線は、過去の値に重みをつけるため、より新しい情報に、より敏感に反応する傾向があります。
※EMAは計算式が複雑であるため、計算がしばしば簡略化されることがあります。
加重移動平均線 (WMA)とは?
加重移動平均線とは、単純移動平均線と同様に過去の一定期間の株価平均値で求めるが、最近の株価に重みづけした加重平均を用いて計算します。
加重移動平均線は、単純移動平均線に比べて、最近の値の影響を強く受けますが指数平滑移動平均線ほどではないです。
移動平均線の計算方法について
移動平均線は、株式投資における基本的なトレンド分析方法の一つです。
単純移動平均線、指数平滑移動平均線、加重移動平均線という3つの種類があり、それぞれの特徴や適用方法には異なる点があります。
どの移動平均線も終値をベースに計算されることが多いですが、高値や出来高等、様々な指標の推移を確認するのにも使うことができます。
単純移動平均線の計算方法とは?
単純移動平均線は、一定期間の終値の平均値を計算することで求められます。
単純移動平均線の計算式は、期間内の終値をすべて加算し、期間の日数で割ることで求められます。
たとえば、5日移動平均線を求める場合、5日間の終値を加算し、5で割ることで計算されます。
指数平滑移動平均線の計算方法とは?
指数平滑移動平均線は、過去の価格に重みを付けて平均を取る方法です。
過去のデータに対して新しいデータほど大きな重みを付け、時間の経過に伴って徐々に重みが小さくなっていくため、最新の価格変動に敏感に反応します。
指数平滑移動平均線は、SMAよりも価格変動に反応しやすく、短期的なトレンドを捉えやすい傾向があります。
しかし、EMAは最新の価格変動に過剰に反応し、ノイズや偶発的な値動きに敏感になるという欠点があります。
計算方法は以下の通りですが、説明すると難しくなるので、詳しい話は割愛します。
1日目の計算:(c1+c2+・・・+cn)÷ n
2日目以降の計算:前日の指数平滑移動平均+α×(当日終値-前日の指数平滑移動平均)
※c1=当日終値 cn=n-1日前の終値 α(平滑化定数)=2/(n+1)
加重移動平均線の計算方法とは?
加重移動平均線 (WMA) は、直近の株価に重みづけを行う点は指数平滑移動平均線と同じですが、全ての期間を計算に含める点が指数平滑移動平均線と異なる点です。
最も新しい価格に最大の重みを与え、過去の価格になるほど重みが減っていくことが特徴です。
加重移動平均線の期間を長くすると、過去の価格に対する重みが大きくなるため、直近の価格に比べて滑らかなラインになります。
一方で、直近の価格に対する影響が小さくなるため、トレンド反転のタイミングが遅れることがあります。
計算方法は以下の通りですが、説明すると難しくなるので、詳しい話は割愛します。
直近の価格に近いものほど重要度を大きくし、一定期間(n日)平均します。
[(当日の終値×n)+{前日の終値×(n-1)}+{前々日の終値×(n-2)}+・・・・・+{(n-2)日前の終値×2}+(n-1)日前の終値]÷{(n+(n-1)+(n-2)+・・・+2+1)}
例)5日加重移動平均(簡易)
加重移動平均線=(5日前終値×1+4日前終値×2+3日前終値×3+2日前終値×4+1日前終値×5)÷15
移動平均線の使い方とは?(無料版TradingViewを使いたい人は必見)
移動平均線の期間に正解はありませんが、一般的な期間は多くの投資家が意識するポイントであり、反応が大きくなるため、知っておくことが重要です。
移動平均線の長さの決め方
短期移動平均線は、株価の短期的なトレンドを捉えるのに適しています。
長期移動平均線は、株価の長期的なトレンドを捉えるのに適しています。
主に、以下の期間が一般的な見方であり、最も注目されやすいです。
適切な移動平均線の組み合わせの決め方(最強のオススメ設定)とは?
移動平均線の最強のオススメ設定は、5日移動平均線と25日移動平均線と200日移動平均線の組み合わせがオススメです。
一般的には時間軸の異なる移動平均線の組み合わせでトレンドの判断や売買タイミングを推し量ります。
短期移動平均線は価格の変動に敏感で、トレンド転換を早く捉えることができるがだましが多いです。
一方で、長期移動平均線はトレンドの長期的な方向性を示し、相場の大局的な流れを表すが反応が遅いです。
そのため、短期移動平均線と長期移動平均線の組み合わせでトレンドの判断を行うことで、相場の状況を総合的に判断することが重要です。
有名な戦略としては、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜いたとき(ゴールデンクロス)に買って、長期の移動平均線が短期の移動平均線を下抜いたときに売る(デッドクロス)戦略があります。
移動平均線は、株価のトレンドや抵抗線、支持線の役割を果たす重要なテクニカル指標の一つです。
自分のトレードがトレンドフォロー(順張り)なのか、反転トレード(逆張り)なのか、どのようなトレンドでエントリーをしているのかを意識してトレードすることが重要です。
移動平均線を使ったトレンドの判断方法と特徴とは?
移動平均線を使った上昇トレンドの判断方法と特徴とは?
上昇トレンドは、長期的に見て株価上昇している状態を指します。
以下の方法を用いて上昇トレンドを判断することができます。
移動平均線の傾きが上向きになることが、上昇トレンドの重要なサインとされています。
上昇トレンドの銘柄はトレンドが続く可能性が高く、上昇トレンドにうまく乗ることができれば利益が大きく狙えることがメリットです。
トレンドの強さや過熱感を推し量ることも重要になってきます。
過熱感を推し量る指標と言えばRSIが有名ですね。
移動平均線を使った下降トレンドの判断方法と特徴とは?
短期・中期・長期移動平均線がともに下落している様子が分かると思います。
下降トレンドは中長期的に株価が下落方向にあることを指します。
下記の方法にて下降トレンドであることを判断できます。
上昇トレンドとは逆で下降トレンドでは徐々に株価が下げている状況になります。
つまり、トレンドが継続すれば株価は下げる可能性が高く、売りで入るか下落からの反発を狙う必要があります。
高値でエントリーしてしまった人が多い状態で、株価が上昇しても手仕舞いによる売りが出やすく、上昇しにくい展開です。
そのため、初心者には難しい相場と思ってよいと思います。
「待つも相場」という格言がある通り、無理にトレードをするよりは上昇トレンドに転換するのを待つと良いと思います。
移動平均線を使ったレンジ相場の判断方法とは?
青線付近で反転して株価が一定ライン内に留まっている様子が分かると思います。
レンジ相場の判断方法として、レンジ相場の上限と下限をラインで引いて、株価がその範囲内に収まっているかどうかを見ることが有効です。
下限はサポートライン、上限はレジスタンスラインと呼ばれ、過去の株価の高値や安値から引くことができます。
レンジ相場では移動平均線の傾きは緩やかになり、短期移動平均線は頻繁にトレンド転換を繰り返すことになります。
レンジ相場では、株価がレンジ相場の上限や下限を突破する(ブレイクアウト)を狙った戦略や、一定範囲で推移している性質を利用して逆張りを狙う戦略が有効です。
移動平均線もトレンドを表現しにくく、効果を発揮しにくい場面ですので、移動平均線を利用した戦略を過信するのは避けましょう。
移動平均線のTradingView(トレーディングビュー)設定例
TradingView(トレーディングビュー)(無料プラン)の制限について
TradingViewは無料プランと有料プランがあります。
有料プランでは多くのインジケーター(例えば移動平均線)を同時に表示することが可能です。
しかし、無料プランでは1つのチャートに最大3本まで※2023年10月頃から最大2本しかインジケーターを表示することができません。
このように、無料プランでは一部の機能が制限されているため、より高度な機能を使用したい場合は有料プランにアップグレードする必要があります。
しかし、それ以上のインジケーターを表示する方法もあります。
トレーディングビューの無料版と有料版どちらを使うべきか悩んでいる人は以下の記事も参考になります。
TradingView(無料プラン)移動平均線を4本以上出す方法とは?
無料プランではインジケーター3本までの制限により、最大3本しか移動平均線を表示できません。
※現在はインジケーター2本までの制限となりました。
ただし、4本以上の移動平均線を表示する方法も存在します。
例えば、複数の移動平均線を表示できるインジケーターを使用する方法です。
TradingViewには自分でインジケーターを自作して公開する機能が用意されています。
私もインジケーターを自作してTradingViewでプライベート公開しています。
※プライベート公開とは限られた人のみに公開する方法
私が作ったインジケーターの機能について、詳しく解説している記事は以下を参照。
移動平均線が機能しにくい相場とは?
移動平均線は、株価や為替レートなどの価格変動をスムーズに表現することができる優れたツールですが、チャートの種類や期間によっては、移動平均線が機能しづらい場合があることに注意が必要です。
移動平均線はレンジ相場などトレンドが明確でない相場には使用しにくい
株価のトレンドが明確でないレンジ相場等では、移動平均線が一定方向に動きにくくなります。
その場合には、無理に移動平均線を使った判断をしないようにすることも大切です。
高値や安値が移動平均線に対してぴったりと追随しないことがある
移動平均線で明確なトレンドが発生していたとしても、エントリータイミングによっては損が出ることがあります。
もちろん、トレンドが反転して、上げていたものが下げに転じることもあります。
エントリータイミングに注意を図ることも大切です。
特に短期移動平均線はジグザグな動きを繰り返しながら長期のトレンドに沿って推移していくこと多いです。
長期移動平均線でトレンドを確認して、短期移動平均線で押し目買い(株価が一時的に下がったところで買うこと)を行う方法があります。
移動平均線を使う場合は、ボラティリティが高い相場では注意が必要
短期移動平均線はだましも多くトレンドの判定は難しい場面が多いです。
逆に長期移動平均線はトレンド転換のサインが遅れて表示します。
そのため、ボラティリティが高い相場では、移動平均線がうまく機能しない場合があります。
ボラティリティが高い相場では自分のリスク許容度を明確に損切りラインを定めてエントリーすることを心がけてください。
ボラティリティと言えば、ボリンジャーバンドが有名です。
ボリンジャーバンドについても記事にしています。
移動平均線の最強設定。無料トレーディングビュー対応の自作インジケーター公開 まとめ
今回は「移動平均線」を取り上げてみました。
移動平均線は最も投資家が注目する指標なので、とても重要です。
私が得意とするシステムトレードでも頻繁に使用するテクニカル指標になります。
システムトレードを知らない方はぜひ、その存在と有効性を知って欲しいので以下の記事を貼っておきます。
移動平均線は「単純移動平均線(SMA)」「指数平滑移動平均線(EMA)」「加重移動平均線(WMA)」の3種類が有名です。
3種はその計算方法の違いから、反応が遅くだましが少ないもの、反応が早いがだましが多くなる違いがあります。
どの指標もトレンドを把握するのに有効な指標ですが、レンジ相場やボラティリティが高い相場で使う場合は注意が必要です。
反応が早いがだましが多い加重移動平均線(WMA)、反応が遅いがだましが少ない単純移動平均線(SMA)
移動平均線に関するよくある質問とは?
- Q移動平均線はどの期間を使うのが良いですか?
- A
移動平均線の期間は、個々の投資家の投資スタイルや投資対象によって異なります。
短期的なトレードをする場合には、5日や25日程度の短期移動平均線を使用することが一般的です。
中長期的なトレンドを追う場合には、50日や200日の長期移動平均線を使用することが多いです。
最強の設定は本記事内で紹介します。
- Q移動平均線のクロスを使って売買タイミングを判断するのは効果的ですか?
- A
移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスを使って売買タイミングを判断することは、一般的には有効な方法とされています。
しかし、市場が非常にボラティリティが高い場合や、一定範囲内で価格が振れるようなレンジ相場には、移動平均線が機能しない場合があるので注意が必要です。
- Q移動平均線とはどのように使えば効果的ですか?
- A
移動平均線は、単独で使うだけでなく、他のテクニカル指標やファンダメンタル分析と組み合わせて使用することで効果的に活用することができます。
TradingViewの無料プランでは最大2つの移動平均を表示することしかできませんが、本記事内ではそれ以上の移動平均線を表示する方法をお伝えしています。
コメント